こんにちは。プロフォトグラファーのKiraBlueです。
今回はソ連時代に製造されたオールドレンズ「Helios 44M 58mm F2.0」を紹介したいと思います。
私自身、このレンズの独特な描写に惹かれ、よく愛用しています。
「Helios 44M 58mm F2.0」
Helios 44Mは、1970年代から80年代にかけてソビエト連邦で製造されたレンズです。
光学設計はドイツの名門Carl Zeiss Jenaの「Biotar 58mm F2」をベースにしており、4群6枚のダブルガウス型を採用しています。
このレンズの最大の特徴は、なんといっても開放F2での独特のボケ味でしょう。
ピント面から外れた部分が渦を巻くように流れるような、いわゆる「ぐるぐるボケ」を生み出します。
これは、球面収差の補正が甘いことに由来するのですが、この描写があまりに印象的なため、「Helios 44M 58mm F2.0」の代名詞となっています。
また、レンズ構成が比較的シンプルなため、コントラストは強くありませんが、柔らかく優しい描写が特徴的です。
ゴーストやフレアも入りやすく、レトロな雰囲気を演出してくれます。
色味は、やや黄みがかった温かみのある発色をします。
各部の説明とスペック
「Helios 44M 58mm F2.0」の外観上の特徴は、真鍮製のレンズ鏡筒に塗装が施されていることです。
とてもクラシカルな佇まいをしています。マウントはM42ネジ込み式で、現代のミラーレスカメラでも市販のアダプターを使えば問題なく使用できます。
絞りはプリセット式で、F2からF16まで動かすことができます。
絞り羽根は8枚です。
最短撮影距離は0.5m、フィルター径は52mmとなっています。
重量は270gほどで、コンパクトながらもずっしりとした重厚感があります。
使用上の注意点
「Helios 44M 58mm F2.0」を使う上で注意したいのは、ピント合わせの難しさです。
開放F2での被写界深度がとても浅いため、わずかなピント外れが目立ちやすくなります。
三脚を使ったり、ライブビュー機能で拡大して合わせるなどの工夫が必要でしょう。
また、レンズ内部に防塵・防滴機構がないため、ホコリの混入には気をつけたいところです。
使用後は丁寧に清掃し、保管時はレンズキャップを必ず装着しましょう。
おすすめの被写体
私が「Helios 44M 58mm F2.0」で好んで撮影するのは、ポートレートや静物です。
人物を撮る際は、ピントの合った瞳の輝きと、ふんわりとぼけた髪の毛や背景のコントラストが実に印象的です。
柔らかなボケが肌の質感を美しく表現してくれるのも魅力ですね。
静物なら、花びらの繊細な質感や、ガラス細工の煌めきなどを幻想的に描写できます。
ぐるぐるとしたボケが、被写体を浮き立たせるように演出してくれるでしょう。
屋外スナップでは、逆光で撮影するとゴーストが入って雰囲気のある1枚が撮れます。
ただし青空では青が強調されすぎるので、晴天の日中は避けた方が良いかもしれません。
まとめ
「Helios 44M 58mm F2.0」は、癖のある描写ゆえに賛否両論あるレンズですが、その独特の世界観にどっぷりとハマる人も多いはず。
作り込まれすぎていない、少しラフでリアルな写真が撮れるのが魅力だと思います。
M42マウントのオールドレンズは、今でもリーズナブルな価格で手に入ります。
Helios 44Mに限らず、色々な個性を持ったレンズが存在しているので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
きっと新しい写真表現の扉が開かれるはずです。